
昨年12月に獣医師向けのうさぎ診療書を出版させていただき、自分としては病院外のお仕事に関し一区切りがついたなと思っております。
出版の際、大阪の師匠にお礼のお手紙を本と合わせて送らせていただきました。
そもそもうさぎの獣医さんではないので、何のお役にも立てないでしょうし、お返事も期待してなかったのですが、後日直筆のお返事を送っていただけました。
本をコツコツ執筆してきた9年間だけでなく、この道に入って28年の獣医師人生が報われたと、大げさでなくそう思いました。
師匠は日本でも5本の指に入る外科医である、と僕は勝手に思っています。
異論は受け付けません。僕が勝手にそう思っているだけです。
師匠からは外科のイロハに限らず、獣医師としてのイロハも、人を育てるという思いもすべて教えていただきました。
謙遜ではなく、僕は大量にいる弟子たちの中でも格段に不器用で、相当不出来な部類に属すると思います。
外科バリバリの動物病院に勤務しながら、なぜうさぎ道に足を突っ込んでしまったかというと、もちろんうさぎが好きというのもありますが、今にして思えば師匠に認められたかったからのような気がします。
外科では師匠にかなうはずがない(そのメンタルが既によくない)。
ならば、何か別の分野で師匠のお役に立ちたい。
「沖田氏がいてくれて助かるよ」と言われないまでも、思ってもらいたい。
そんな承認欲求がスタートだった気がします。
現に僕と同期の弟子はあと二人いたのですが、一人は「しつけ」に走り、一人は「漢方」に走りました。
みんな考えることは一緒です。
4年師匠の下で働き、おそらく仕事のことでほめてもらったのは1度だけだったと思います。
勤めて3年目くらいだったでしょうか、猫の避妊手術をしていた時に
「ようやく見れる手術になってきたな」と言っていただいたことを、今でも覚えています。(見れる手術=見ていて苦でない、ぼちぼちの手術)
それほめ言葉なの?と思われるかもしれませんが、僕にとっては天にも昇る気持ちだったのです。
もっとほめる機会を増やせる弟子ならよかったのですが、なにぶん師匠のレベルが高すぎて、結局ほめチャンスを作ることができないまま卒業しました。
それがスタートでうさぎ道にどっぷりつかり、気が付くと「うさぎの先生」と勘違いされるまでになりました。
前作がどうにも納得いかなくて、どうしても納得のいく「うさぎ獣医学書」を作りたいという思いはもちろん執筆の動機でした。
出版できてよかった。売れるともっと嬉しいなとか思っていたのですが、師匠からお手紙をいただき『ああそうか』と思いました。
『28年もこの仕事をやってきて、52歳にもなって、結局僕は師匠にほめてもらいたかったのか』と。
お手紙の内容は書きません。
書いたらとんでもなく怒られる気がしますので、書きません。
僕の一生の宝物です。
まだ十数年この仕事をするでしょうし、仕事にまつわる達成感や、喜び、感動はまだまだ今後もあるでしょう。
でも、師匠の手紙を読んだ時の思いは、そうそう超えられない気がします。
もし信じられないくらい本が売れて、ドン引きするほど印税が入ったら、もしかしたら超えてくるかもしれません。
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