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アレス動物医療センター

エンリッチメントなウサギ生活

 今月は忙しい日曜日を2回も休ませてもらって、福井県と富山県の学会に参加させてもらいました。
 残されたスタッフの苦労はいかばかりか、とは思うのですが、やっぱり外で勉強してくるのは楽しいですし、何より新しい知識が増えるのはありがたいですね。

 毎年のように学会に参加して、そんなに内容が変わるのかというと、実はそこまで変化があるものではもちろんないのですが、そのセミナーの中で、2つ3つ初耳の知識や技術があると、そこに大きな意味が出てきます。
 
 東京や大阪の学会などでは会費、交通費、宿泊費で10万円を超えちゃったりすることもあるわけですが、それでもこの2つ3つの新しい知識には価値があるわけです。
 この新しい知識で、とある病気の回復率が1%上がるなり、手術時間が5分間でも短くなるなりというのは、金額を越えた価値なんだと思います(まあ、費用対効果とか税理士さんに怒られちゃったりするのかもしれませんが)。

 なんだかんだと毎月誰かしらが学会に行っているので、たぶん年間ではえらい金額になってたりするのかもしれませんが、怖くて見てません(経営者としては、どう考えてもだめ)。

 という、生々しいお話はともかく、今回参加したセミナーはどちらも本当に有意義で、一件はエキゾチックアニマル診療の第一線で戦われている霍野晋吉先生のうさぎのセミナー。
 もう一件は腫瘍や外科で有名な南毅生先生の外科セミナーという、地方のセミナーとしては異例なくらいの豪華ラインナップ!
 わかりにくいかもしれませんが、超豪華なのです。
 
 超人見知り、超出不精の私が、自分からご挨拶に伺い(当たり前)、南先生にいたっては懇親会まで出続けるがんばりよう(すごく当たり前)。
 偉いぞ、俺!
 引きこもり獣医師としては相当のがんばり具合だ!!(注:病院移転後スタッフに引きこもりと呼ばれています)
 
 どちらもすばらしいセミナーだったのですが、ここはやっぱりうさぎのホームページなので、学会で教えていただいて、おおなるほどと思ったネタをひとつ
 
 「うさぎの環境エンリッチメント」
 
 環境エンリッチメントとは、指導物福祉の立場から飼育動物の幸福な暮らしを実現さするための具体的な方策で、どのように飼育するとうさぎさんたちは快適に、ストレス少なく生活できるか、というお話です。
 
 このエンリッチメントな飼育を実現できれば、日ごろ家に引きこもり(私のように)、あまり飼い主さん以外の人との接触もなく(私のように)、外に出歩いて遊ぶこともない(私のように)うさぎさんも、病院などに行って、より穏やかに診察、治療が出来るのではないか、ということにもつながるわけで、これは眼からうろこでしたね。
 
 日ごろ病気のことを主に考えていますが、確かに快適な生活はストレスが減り、病気を少なくするわけで、とても病気の予防としても大事なことなのかもしれません。
 
 うーん、深い。
 まだまだ勉強しなければいけないことがたくさんありますね。
 
 ちなみに方法論はいろいろあるのでしょうが、たとえば
 2m四方くらいの子供用プールにチップを入れ、大量の牧草も入れておき、プールの周りに柵(サークルなど)を配置して、そこに1日1時間くらい毎週入れて自由にさせておく、とかだそうで、プールに蓋はないのでうさぎは後肢で立つことが出来たり、安全に動き回れる時間を確保でき、爪切りなどのハンドリングもさせてくれやすくなるとのお話でした。
 
 2m四方の子供用プール(プラスチック製?のごつい奴)を室内においておけるスペースというと、ウサギもリッチだけど、飼い主さんにも結構なリッチさが要求されるのかもという気もしますが、もし出来る環境の方がいらっしゃったら、週一でちょっと試してみてはいかがでしょう。
 
 関係ないですけど、霍野先生の書かれたエキゾチックの獣医学書は私がまだ駆け出しのころに買ったもので(10年前くらい?もっと前かな?)、「晋吉」さんというお名前から、勝手にめっちゃ高齢の方だと勘違いしていたのですが(いつも著者近影はメガネザルか何かの写真が載っていたので)、私より10歳も離れてないくらい方なんですね。
 うーん、才能のある方は若くして開花するものなのですね。
 
 大器晩成とか言うけど、ほんとにいつか晩成するのかな…
 大器とは言わないけど、中器か、せめて小器で晩成できないかな…

 …いや、まあ健康に65歳くらいまでやってけりゃ良いか



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