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アレス動物医療センター

あごのしこり

疑問、質問

  こんにちは。
 以前、歯が折れてしまった時ご相談させて頂いたものです。
 おかげさまで、1ヶ月もたたないうちに歯が伸びてきました。
 あの時は、はえてこなかったらどうしようかと心配致しましたが、色々アドバイスをして頂きありがとうございました。

 今日はパスツレラ菌についてお尋ねしたいのですが、実は10日ほど前にあごにシコリを見つけ、病院に連れて行きましたら、パスツレラ菌で膿がたまっている。といわれました。
 ウサギが持っている菌で弱っている時とかに出たりすると言われました。
 歯を折ってしまった時食欲が落ちてしまったのが原因との事でした。

 麻酔をして切るか、薬を飲ませるかだと言われましたが、麻酔は死に至る確率があるのでお願いできませんでした。

 2,3日は薬を飲んでくれていたのですが、飲まなくなってしまい、スポイドで無理矢理飲ませてしまってからは、全然飲まなくなりました。
 今のところ薬の効果は全く無くシコリが小さくなりませんでした。

 獣医さんに相談したところ、麻酔をして切る事を進められましたが、死ぬ確率が有る事を思うと心配です。

 見た目には元気なのですが、以前に比べると、食欲も落ちています。
 シコリは痛いのでしょうか??
 このままほっておいても良いものなのかどうか、またこの病気は怖いものなのでしょうか

どうぞ宜しくお願い致します。
 
(一部ホームページ用に中略しております)

お返事

 まず、恐い病気かといわれますと、たしかに恐い病気です。
 痛いことはまず間違いないでしょうし、この痛みなりによって食欲がなくなれば、当然生きていけません。
 食欲があるうちに治療をしなければならないということになります。

 では薬だけで治るかというと、これは難しいでしょう。
 犬や猫の膿瘍(膿のたまったしこり)は薬だけで治ることもあれば、小さい切り口をつけて膿を洗い流すだけで完治することもありますが、うさぎの場合薬だけでは治らないことがほとんどです。
 これはうさぎは薬の吸収率が悪く(胃腸から薬が体に入りにくく)、またうさぎの膿瘍は犬や猫と違って、分厚い皮膜(壁みたいなもの)に覆われており、膿の中にまで薬が入りにくいからです。
 したがってうさぎの膿瘍は、内科療法に加え、あたかも腫瘍を扱うかのように皮膜ごと摘出しなければならないのです。
 
 ただ、あごの膿瘍に限らずですが、うさぎの膿瘍というのは、隠れた原因があることが多く、特にあごの場合歯などの口腔内の問題が多いです。
 前回の歯が折れたことによる流涎か何かで起こったのなら良いのですが、もし別の問題が隠れていた場合、膿瘍の摘出とともに、もう一つの原因も見つけ、解決しないと再発するおそれがあります。
 
 手術によって膿瘍が摘出できたとしても、そのあと薬を長々と飲む必要がありますので、もし薬がいつまでも飲ませられないようだったら、手術のかいもないかもしれません。
 ただ、薬が飲めないのだったら、当然薬だけで治るはずがありませんし、薬だけで治るかどうかも確かめようがありません。

 少しでも早く薬を飲ませられるようになり、手術を受けることをおすすめします。
 たしかに手術のリスクはありますが、ほっておくほうがよっぽど危険です。
 餌を食べられなくなり、空腹でありながら餓死するというのは、もっとも残酷な死にかたの一つではないでしょうか。 


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