手術したのに食欲が戻らない

’02/11/13更新

疑問

 2才ちょっとになりますが、紙をかじりたがる以外はあまりイタズラもしないですしこれといった病気もしたことも無く至って健康でした。
 が、29日の夜帰宅したところケージに閉じこもったまま全く動こうとせず、食事も全くしていませんでした。
 慌てて近所の獣医さんのところに行ったところ、抗生剤と腸整剤の注射をうってもらうのみでした。
 一晩その状態は変わらず、翌朝一番に獣医さんのところに行きビタミン入り抗生剤と腸整剤をうってもらいました。
 検査を求め、血液を採ろうとしたのですがウサギが動いてしまい一定量の血液を採血できないとのことでした。
 午後になるとウサギも元気をとりもどし、あげると菜っぱなどを食べるようになってきたので安心してしまったのですが・・・。
 午後主人が家にもどり様子をみた所、やはりおかしいという事でこちらのHPで動物病院を探しそちらで検査してもらったところ、胃に何かつまってるとのことでした。
 点滴で内容物を流す方法があるとのことでして頂きましたが、出てこないとのことで3日午後手術をして頂きました。手術は無事終わり内容物は全て毛でした。
 手術中の麻酔と術後の痛みで命を落とすことがあるとのことで心配しておりましたが、それも乗り越え安心していたのです。
 が、手術を終えて5日も経つのですが、腸が動かないのです。
 薬も使っているようですが、動かないとのことで心配しています。

 先ほど、ウサギの本を読んでいたのですが腸が動かない場合手の打ちようがないとありました。
 食事はペレットなどは食べようとせず、葉っぱを少しと先生が野菜ジュースのようなものを与えてくださっているとのことでした。
 この場合、どんな理由が考えられるのでしょうか?
 例えば、病院にいるストレスのためで家に連れ帰り安心して食べられるようになるなんていうことはあるのでしょうか?
 手術前にバリウムを飲み、それも出てこないとのことでした。
 今見て頂いてる先生は、若いですが説明も分かりやすく熱心にみて下さっています。
 以上の経緯から、先生のご意見などをお聞かせ頂ければと思いメールさせて頂きました。
一日でも早く、私たちの手元に元気なうさで戻ってきて欲しいと願っています。どうぞ宜しくお願いいたします。


(一部ホームページ用に中略しております)

お返事

 さて、ご質問の件ですが、ウサギはよく一日食べないと死ぬ、などと言われますが、これはあながち迷信ではありません。
 食べないとすぐ次の日に餓死するというわけではなく、食欲不振が起きると、次の3つの問題が起こります。
1.口から繊維質が入ってこないことによる腸の運動能低下(あるいは停止)
2.クロストリジウムなど悪玉菌の増加(とこの毒素による消化器症状)
3.脂肪肝(口から栄養が入ってこないことにより、体脂肪を肝臓に集めエネルギーに変えようとするが、ウサギの肝臓はその脂肪を処理しきれる力がなく、フォアグラのような脂肪まみれの肝臓になり肝不全になる)
 
 これらの問題はどれも命に関わる問題です(といわれていますが、実際のところはどれがどの程度問題なのかよくわかりません)。
 つまりウサギは何らかの原因で食欲がなかったり、あるいは食べられなかったりすると、次の日には腸と肝臓の病気が続発し、この問題が密かに命を削り取っていくことになるのです。
 極端な話、どこかに足をぶつけて食事がとれないと、次の日にはその痛みが消えていても腸と肝臓の病気で命を(数週間後に)落としてしまうことだってあり得るわけです。
 
 ですからウサギの食欲不振が起きたときはその原因を突き止めるよりも先にこの3つの問題を防ぐために、点滴や流動食の強制給餌など積極的な治療が必要であり、これをして初めて大元の原因を探し、治療する資格が出来るのです。
 特に流動食は必要不可欠であり、これなくして回復はあり得ません。
 
 たとえば私が以前診た患者さんで、原因不明の病気で1週間点滴だけで生活していたウサギさんが来院されたことがありました。
 原因は臼歯の不正咬合で、舌に突き刺さっていた歯を麻酔下で削りました。
 当然胃腸は完全麻痺に陥っており(一週間の食欲不振で)、その病院で飲ませたバリウムが胃からまったく動かず、腸の中にはガスが充満しておりました。
 歯を削った直後から、流動食をはじめましたが、数日間はまったく便も出ず、腸のガスは抜ける気配もありませんでした。
 ようやく小さい便が出たのは手術後5日目で、食欲が出たのはさらにその数日後でした(退院できたのはさらに後ですが)。

 本来ウサギは口に入れたものは8時間で便として出るはずなのに、流動食を飲ませても5日間も便が出なかったわけですから、出だしは歯の問題でも、途中から食欲不振からくる腸管麻痺で瀕死の状態になっていたわけです。

 そちらのウサギさんをみることが出来ませんから、実際はどうかわかりませんが、そのようなことは往々にしてあり、薬、点滴と平行して、そちらの先生の仰るとおり、ひたすら流動食を与え続ける必要があり、あきらめないことこそ最前の治療なのかもしれません。
 そのウサギさんは今は定期的に歯を削る必要があるとはいえ、元気に過ごしてらっしゃいます。

 メールを読ませていただいた限りでは、そちらの先生の処置に何の誤りもなく、後はひたすらそれを続けてもらい、ウサギさんの体力次第、ということなのかもしれません。
 私にはメールで「がんばってください」と無責任に書くくらいしか、出来ることはないのですが、飼い主さんのあきらめない気持ちがきっと実を結ぶものと信じております。