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アレス動物医療センター

うさぎの病気 異物を飲み込んだ(異物誤飲)

緊急性

 迷わず今すぐ動物病院へ行ってください。

 ただしその動物病院が閉まっている時間なら、受け付けてくれるか電話で確認し、もし無理と言われたら、受け付けてくれる病院を探しましょう。
 それでもだめなら朝まで待つしかありません。

解説

 異物を飲みこんでしまうというのは、ウサギを家の中で飼うにあたり、もっともよくある事故であり、かなり気をつける必要があります。

 異物というのは具体的に言うと、たばこや観葉植物、タオル、絨毯、クッションの中身、ヘアピン、ゴムボール、ビニールの袋などなど、ようは食べ物以外のものを差します。

 異物の危険性というのは、大きく次の二点、一つは中毒、もう一つは胃や腸での閉塞です。 

 まず中毒というのは、たばこや一部の観葉植物、殺虫剤、殺鼠剤、ネギ類、鉛など、体に有害な毒物を誤って食べてしまったときに起こるものです。
 これは、急いで病院へ連れていき、処置を受ける必要があるでしょう。
 で、このとき忘れてはいけないのが、飲みこんだ物と同じ物や、その成分が書かれた包装紙を一緒に持っていくことです。
 獣医師はこれを見て、処置の必要性や、処置の方法を考えることができるのです。

 もう一つの胃や腸での閉塞ですが、これは中毒ほど症状が出ることはあまりないようです。
 うさぎは犬と違い、異物を丸呑みするということが少なく、噛み砕いて飲みこむことが多いので、便といっしょに出てくることも意外と多いですが、出てこなかったらそれこそ命取りです。

  ここで飲みこむと最もまずいのがひも状のものです。
 例えば絨毯やタオルを噛み砕いてひも状にして飲みこんだり、荷物をくくるビニールテープなどを飲みこんだりというのが、もっとも命を脅かします。

 意外かもしれませんが、金属や大きい消しゴムなどを飲みこむよりも、命の危険性はひも状異物のほうが高いのです。

 その理由を書き始めると、ちょっときりがないので割愛しますが、大雑把に説明しますと、金属や消しゴムが腸で閉塞しても、その部分だけが障害を受けますが、ひも状異物の場合、腸の長い(広い)範囲で障害を受け、穿孔(腸に穴があくこと)が多数の場所で起こることが多く、手術してもすでに腹膜炎を起こしていて、助けられないことが意外と多いからです。

 ただ犬や猫のように異物を飲み込んだときに吐かせるという処置が出来ないので、基本的には何も症状が出ないことを祈るしかなく、いざ症状が出たら、すぐに対応するという形になるでしょう。

 とにかく、中毒を起こすようなものにしろ、腸閉塞を起こすようなものにしろ、なんか食べ物以外のものを飲みこんだらとりあえず動物病院に電話をしてください。

 病院に電話をして問い合わせるのは、それが単なる異物誤飲なのか、中毒に至る可能性があるのかの確認と、それに対する処置の仕方を教えてもらうためです(もちろんすぐつれてきてくださいというときは、それに従いましょう)。

 「今までうちのこはいろんな物を飲みこんだけど、ぜんぜん平気だ」と、今この文章を見て思っている人もいるでしょうが、そんなのは単なる偶然であり、たまたまつまらなかっただけです。

 「私は交通事故にあったことはあるけど、死んだことはない」といっているようなものです。
 世間には交通事故でお亡くなりになった方が、山のようにいて、みなさん事故に会う直前までは、きっと同じように思っていたことでしょう。

 ただうさぎは好奇心旺盛で、部屋に出したら、いろんな物を齧ったり、口に咥えたりするのは当たり前です。
 これは、しつけでどうのというものではなく、ウサギである以上は避けて通れないものです。

 では、どうするか?
 答えは簡単です。
 噛まれて困る物をうさぎの行動範囲に置かないということです。
 運動する場所と時間を制限すべきであり、どうしても一部屋丸ごと運動場として提供したいというのであれば、すべての床の物を机の上に片付け、絨毯などをはずし、ソファーなどの足や地面との設置部分をベニヤ板などで防御すべきでしょう(ソファーのためではなく、うさぎのためです)。

 もしそれが面倒くさいというのであれば、自由に部屋に放すべきではなく、柵などで区切った運動場を部屋に作ってあげるべきでしょう。

 異物を飲みこみ、お腹を開くはめになった飼い主さんは、いつも口を揃えてこう言います。
 「今までこんな物飲みこんだことなかったのに・・・」と


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